職長・安全衛生責任者教育とは|法的根拠・受講対象・内容を徹底解説

建設業・製造業などの職場では、「職長教育」「安全衛生責任者教育」と呼ばれる法定教育の受講が義務づけられています。しかし、「誰が受けるべきか」「何を教えるのか」「更新が必要か」といった基本的な疑問を持つ安全担当者も多いのが実情です。本記事では、職長・安全衛生責任者教育の法的根拠・内容・受講方法をわかりやすく解説します。
職長・安全衛生責任者教育とは
職長教育とは、労働安全衛生法第60条に基づき、作業中の労働者を直接指揮・監督する職長に対して行う法定教育です。製造業・建設業をはじめ、電気業・ガス業・自動車整備業など多くの業種で、新たに職長(班長・現場監督など、作業中の労働者を直接指導・監督する立場)に就く者への教育が義務づけられています。なお作業主任者は職長とは別の制度です(後述)。
安全衛生責任者教育は、元請・下請が混在する建設現場において、各協力会社が選任する「安全衛生責任者」に対して実施する教育です。主に建設業の現場で必要とされます。
誰が受講すべきか
- 新たに職長・班長・作業責任者に就く者(新任時に受講)
- 建設現場に入る協力会社が選任した安全衛生責任者
- 元請会社が「安全衛生責任者教育の受講証明」を要求する場合(実態として多い)
職長教育で学ぶ内容(5区分・12時間)
| 科目 | 内容 | 時間 |
|---|---|---|
| 作業手順の定め方・労働者の適正な配置の方法 | 作業手順の策定・適切な人員配置 | 2時間 |
| 指導及び教育の方法・作業中における監督及び指示の方法 | 部下への指導・教育の進め方、作業中の監督・指示の方法 | 2.5時間 |
| 危険性・有害性の調査とその結果に基づく措置 | リスクアセスメントの基礎と実践 | 4時間 |
| 異常時における措置・災害発生時における措置 | 緊急時の判断・対応・報告 | 1.5時間 |
| 設備・作業場所の保守管理、労働災害防止についての関心の保持等 | KY活動・ヒヤリハット活動等 | 2時間 |
労働安全衛生規則第40条第2項により、上記5区分について合計12時間以上の教育が義務づけられています(2日程度)。
なお建設業では、これに安全衛生責任者としての職務等に関する教育(おおむね2時間)を加えた「職長・安全衛生責任者教育」(合計14時間程度)として実施されるのが一般的です。
職長と作業主任者の違い
職長と作業主任者は制度上まったく別のものです。混同されやすいため整理します。
| 項目 | 職長 | 作業主任者 |
|---|---|---|
| 根拠条文 | 労働安全衛生法 第60条 | 労働安全衛生法 第14条 |
| 位置づけ | 作業中の労働者を直接指導・監督する者。事業者に教育の実施義務がある | 政令で定める危険・有害作業ごとに選任が義務づけられる者 |
| 要件 | 職長教育(安衛則第40条)の修了 | 都道府県労働局長の登録を受けた登録教習機関による技能講習の修了等 |
| 例 | 班長・現場監督などの立場で作業員を指揮する者 | 足場の組立て等作業主任者、酸素欠乏危険作業主任者 など |
※ 職長教育は「登録教習機関」による技能講習制度の対象ではありません。登録教習機関の制度は作業主任者の技能講習等に適用されるものです。
職長教育の受講方法
①外部機関の講習を受講
労働基準協会・建設業労働災害防止協会・中央労働災害防止協会などの外部機関が実施する職長教育講習を受講する方法です。職長教育は事業者に実施義務がある教育であり、外部機関への委託が認められています(作業主任者の技能講習のような「登録教習機関」制度とは異なります)。修了証が発行されるため、元請への提出にも使えます。
②事業者が自社内で実施
法定の科目・時間を満たした内容を自社で企画・実施することもできます。ただし、講師の資格要件はないものの、教育内容を記録・保存しておく必要があります。
職長教育と安全教育動画の組み合わせ
職長教育の「設備・作業場所の保守管理、労働災害防止についての関心の保持等」の科目では、KY活動やヒヤリハット活動の進め方が対象です。この部分の教育に、事故事例のCG動画を活用することで、座学だけでは伝わらない危険のリアリティを補完できます。
ZIKOZEROの事故再現動画は、職長教育の補助教材としても活用可能です。建設業向けの活用方法は建設業向け安全教育動画のページでも紹介しています。
よくある質問
Q. 職長教育は何年ごとに更新が必要ですか?
A. 法律上、職長教育は初任時の受講が義務であり、更新の義務規定はありません。ただし、厚生労働省は概ね5年ごとの「職長等能力向上教育(再教育)」を指導しています。また、元請会社から定期的な再受講を求められるケースもあります。
Q. 建設業以外でも職長教育は必要ですか?
A. はい、製造業・電気業・ガス業・自動車整備業・機械修理業・清掃業など労働安全衛生規則第40条に列挙された業種はすべて対象です。サービス業や情報通信業は原則対象外ですが、工場内作業を伴う場合は確認が必要です。
Q. 職長教育の受講費用の目安は?
A. 外部機関の講習は1名あたり1.5〜3万円程度が一般的です。複数名をまとめて受講させる場合や、自社内講習との組み合わせで費用を抑えることができます。
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参考資料・出典
- ▸ 労働安全衛生法(e-Gov法令検索)第59条(安全衛生教育)・第60条(職長等の教育)等
- ▸ 労働安全衛生規則(e-Gov法令検索)第40条(職長等の教育)の科目・時間
- ▸ 厚生労働省「安全衛生」施策情報労働安全衛生に関する法令・通達・施策

