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労働安全衛生法で定められた安全衛生教育について解説!

労働安全衛生法では、さまざまな安全衛生教育の実施が定められています。これらの教育は、労働者が安全・衛生的に労働を続けていくのに欠かせません。この記事ではそのような教育の種類や内容を紹介します。労働環境に合った教育を行い、労働災害を防止しましょう。



労働安全衛生法では、さまざまな安全衛生教育の実施が定められています。これらの教育は、労働者が安全・衛生的に労働を続けていくのに欠かせません。 労働災害防止のためには、労働者の安全衛生意識と知識の向上が必要だからです。労働環境に合った適切な教育を行い、労働災害を防止しましょう。


安全衛生教育は労働安全衛生法によって義務付けられている


安全衛生教育は、労働安全衛生法という法律によって、実施することが義務づけられています。ここでは、必ず行わなければいけない安全衛生教育について説明します。


適切な労働を行うのに欠かせない


労働者が安全・衛生的に労働を行う権利は守られなければなりません。そのため、労働者を雇う経営者には、労働者が安全・衛生的に労働できるよう努力する義務があります。ただし、労働におけるリスクを回避するためには、経営者の努力だけでは不十分です。

例えば、経営者の判断で機械に安全装置が取り付けられたとしても、それを使う労働者が誤った使い方をすれば、事故が起きてしまいます。そのため労働者側にも、安全に関する知識や意識が必要です。


労働安全衛生教育の主な種類

「労働安全衛生教育」と一言でいっても、そこにはさまざまな種類があります。

  • 雇い入れ時・作業内容変更時の教育

  • 危険有害業務従事者への特別教育

  • 職務長に対する教育

  • 労災防止のための能力向上教育

教育が必要とされるタイミングや状況などはさまざまです。ここからは、これらの教育について1種類ずつ詳しく見ていきましょう。


雇い入れ時・作業内容変更時の教育


安全衛生教育が必要なタイミングとしては、労働者を新たに雇い入れるとき、作業内容に変更があった時がまず挙げられます。このようなときに行われる教育について見ていきましょう。


パートやアルバイトであっても教育の実施は必要


労働安全衛生法第59条によると、事業者が労働者を新たに雇い入れた場合に、労働者に対して安全・衛生についての教育をしなければならないとされています。 また、作業内容が変更された際にも新たな作業内容について労働者への安全衛生教育が求められます。ここで言う「労働者」とは、正社員だけでなく、パートやアルバイトなどあらゆる雇用形態を含んでいます。


安全・衛生的に労働する権利は雇用形態によって変わるものではなく、雇用形態によって業務のリスクが変わるわけでもありません。当然と言えば当然ですが、あらゆる雇用形態の労働者に対しての教育が義務づけられています。


雇い入れ時・作業内容変更時に学ぶ内容


労働者を新たに雇い入れた場合、作業内容に変更があった場合に教育すべき内容は、下記の通りに定められています。

  • 機械等・原材料等の危険性または有害性及びこれらの取扱い方法

  • 安全装置、有害物抑制装置または保護器具の性能及びこれらの扱い方法

  • 作業手順

  • 作業開始時の点検

  • 当該業務に関して発生する恐れのある疾病の原因及び予防

  • 整理整頓及び清潔の保持

  • 事故時等における応急措置及び退避

  • そのほか当該業務に関する安全または衛生のために必要な事項

事務仕事などが中心であり、特にリスクが伴わない作業を行う業種の場合、1つ目〜4つ目の項目については省略しても良いことになっています。


危険有害業務従事者への特別教育


危険有害業務は労働安全衛生法によって定められており、例えば下記のような業務が該当します。

  • 最大荷重1トン未満のフォークリフトの運転

  • チェンソーを用いての立木伐木

  • ゴンドラの操作業務

  • エックス線装置およびガンマ線照射装置を用いた透過写真の撮影

  • 核燃料物質もしくは使用済み燃料の取り扱い業務 など

これらの業務に従事する場合、該当の業務内容に即した特別教育を受けることが必要とされています。


特別教育とは危険または有害な業務に就かせる際に必要な教育


労働安全衛生法59条には、危険または有害な業務に就かせる際に特別教育が必要な旨が書かれています。危険・有害な業務を行うために必要な資格は「免許」「技能講習」「特別教育」の3つで取得されるとされており、これらには上下関係が設定されています。


最も上位が免許であり、次いで技能実習、最下位が特別教育です。例えばクレーンの吊り上げ業務を行う場合、吊り上げ荷重が1トン未満のクレーンであれば特別教育を受けることで業務可能ですが、1トン以上5トン未満の場合には技能講習が要され、5トン以上の場合には免許取得が求められます。


取得難易度の高さも免許、技能講習、特別教育の順になっています。


の事業所から転職してきた労働者で、同様の業務を前の事業所でしていた場合でも、新しい事業所で特別教育を受けるのが基本です。ただし、作業主任等上位の資格を持っている場合や十分な知識・経験があって以前に受講した修了証明などがあれば、特別教育を受けなくても良いとされる場合もあります。


特別教育で学ぶ内容


特別教育で学ぶ内容は、携わる危険・有害業務ごとに異なっており、種類はとても多いです。 ほとんどの特別教育には学科と実技が含まれますが、中には実技教育がないものもあります。また特別教育の種類によって教育時間も異なっています。詳しくは「東京労働局のホームページ」を確認するようにしてください。



職長等に対する安全管理教育


現場を指揮する職長等にも、なされるべき安全管理教育が定められています。この教育を受けない限り、現場の指揮をすることは許されません。ここでは職長等に対する安全管理教育について見ていきましょう。


職長教育とは現場を指揮する為に必要な教育


職長教育は労働安全衛生法の60条で定められています。職長教育の対象者は労働者を直接指導・監督する立場にある人たちであり、職長という肩書きでない班長や作業長といった人たちもこの教育の対象です。


もしこの教育を修了していない人物が現場で労働者の指導・監督を行った場合、労働基準監督官より是正勧告を受けることになり、従わなかった場合には処罰や送検の対象となってしまいます。


職長教育で学ぶ内容


まず、職長教育の時間は合計で12時間以上とすることが法律で定められています。この時間(職長教育に費やされた時間)は労働基準法上の労働時間として扱われますので、法定労働時間外で行われた場合、事業者は該当する職長に割増賃金を支払わなくてはなりません。

講義は専門知識を持った人物から受けることになっており、学ぶ内容は下記の通りです。



労働災害の防止のための能力向上教育

労働災害防止のための能力向上教育については努力目標であるとされています。ただし、実際に事業場で安全・衛生的な労働を行うためにはとても大切な教育です。

常に職場の安全衛生水準を向上させるために必要な教育

労働災害防止のための能力向上教育については、労働安全衛生法19条の2で定められています。社会経済情勢の変化に対応しつつ、事業場の安全衛生の水準を向上させるための教育とされています。象者は安全管理者、衛生管理者、安全衛生推進者、衛生推進者など、労働災害防止のための業務に従事する人たちです。

能力向上教育で学ぶ内容

能力向上教育の実施主体は事業者となっていますが、安全衛生団体等に委託して行っても良いことになっています。能力向上教育の内容等は下記の通りです。


労働安全について学ぶなら「全国産業安全衛生大会」に参加しよう


労働安全について学ぶのであれば、全国産業安全衛生大会に参加するのが良いでしょう。全国産業安全衛生大会とは、全国の労働安全に関わっている人たちが集まり学び合う、中央労働災害防止協会主催の安全衛生イベントです。


参加者は1万人を超える


全国産業安全衛生大会の参加者は計1万人を超えています。参加者は経営者、産業安全・労働衛生スタッフ、管理者・監督者などです。労働における安全・衛生に対して責任を持って取り組んでいる方々が集まりますので、貴重な学びの場となります。


全国安全衛生大会の内容


ここからは、全国安全衛生大会の内容について見ていくことにします。


講演会で労働安全衛生行政の動向を確認


1日目は総合集会プログラムとして、講演会が開催されます。労働安全衛生行政の動向をテーマに厚生労働省労働基準局安全衛生部長が講演をしますが、毎年有識者による特別講演も行われています。2019年はデザイナーのコシノジュンコ氏による「おかあちゃんからもろた言葉」という特別講演が実施されました。


このほか1日目に記念表彰も行われます。これは、長年労働安全を推進してきた企業・グループにたいして「緑十字章」が贈られるというものです。


専門分科会に分かれて事例で学ぶ


各専門分野に分かれ、事例で学ぶ時間もあります。企業における防災・震災対策事例や機械・設備等のリスクアセスメント事例などです。2019年度は新しくAI・IoTに関する分科会やダイバーシティに関する分科会も開かれました。

AI・IoTに関する分科会ではAI画像認証技術を用いた不安全行動監視技術の研究発表などが行われました。ダイバーシティに関する分科会では、高齢者や外国人労働者と一緒に働く職場環境づくりについての学び合いがなされました。


労働安全の教育はまず小さいことから始めよう!


労働災害を防止するための方法はたくさんありますが、いきなり大きなことから始めても長続きしなければ意味がありません。特に事業所の全労働者の安全意識を高めるには、ハードルが低いことも大切でしょう。そのためスマホやタブレット、PCなどデバイスに関係なく手軽にCG映像で安全コンテンツが視聴できるサービスの利用がおすすめです。


ZIKOZERO(ジコゼロ)は実際に起きた災害事例をCGで再現して配信する安全教育コンテンツサービスです。認知心理学者が監修する学習効果の高い映像構成となっており、リスクを予測しながら作業する力を向上させるのに適しています。こういった映像コンテンツを管理者や労働者が見ることで、少しずつ安全意識を高めることができます。



職場の労働環境に合った安全教育を考えよう!


職場で労働者が安全・衛生的に仕事を続けるには、安全衛生教育が不可欠です。法律で義務づけられている教育もあれば努力目標とされている教育もありますが、ともに、職場の安全を守る上では大切です。安全教育には複数の種類がありますし、実施方法にも選択肢があります。現状の労働環境委にあった安全教育を行い、労働災害防止に役立てていきましょう。


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